ピール剥離

剥離は、被着体との界面でも生じていますが、主にピール層内のPPとLLDPEの界面で発生しています。このように、剥離の初期においては連続相と分散相の界面が剥離し、それがきっかけとなってブレンドピール層が凝集破壊していくものと考えられています。このとき、凝集破壊したピール層が被着体表面に残存するとフェザリング(糸状の毛羽立ち)となります。フェザリングの発生は、ピール層の厚さと関係しており、ブレンド層を薄くするとフェザリングが発生しなくなります。ブレンド層を薄くする方法としては、PPサポート層とブレンドピール層の共押出成形が有効な手段のため、このシーラントフィルムの製造に適用されています。このようなブレンド系のピーラブルシーラントのヒートシール強度は、ブレンド比に直接関係しますが、同じブレンド比であっても、分散相の形状が大きく影響します。ピール剥離時のPP-LLDPEの破壊界面が減少してシール強度は熱処理品の方が高くなります。レトルト用蓋材には、シール強度に関する食品衛生法による規格値(2.3kg/l5mm以上)があり、レトルト用蓋材にはシール強度に関する規格値(2.3kgl15mm) がありますが、これを満足しかつ開封しやすいという、相反する特性が要求されます。一般的に使用されているPP/PEプレンド系のシーラントでは、この相反する条件を満足させるためにヒートシール強度を狭い範囲でコントロールする必要があります。