包装の複雑な食品の一つがソーセージでしょう。ソーセージは「腸詰め」という邦語が示す通り、ひき肉に各種調味料を加えて混ぜたものを、動物の腸に詰めて製造されます。下位分類も多様で、多くの家庭で好みに合わせて消費されています。このソーセージの包装は一般に、「ケーシング」と「外装材」とに分けることが出来ます。「ケーシング」とは、ソーセージを詰めて密封するための資材を指し、下位分類として可食性と不可食性とがあります。さらに可食性のケーシングも、天然腸とコラーゲンとに分けることが出来ます。
まずは天然腸のケーシングから見ていくことにしましょう。現代のように人工的なケーシングを利用できなかった時代は、天然腸が代用されました。ウインナーソーセージには羊腸が、フランクフルトソーセージには豚腸が、ボロニアソーセージには牛腸が使用されました。共通点は動物の小腸、大腸を利用していることであり、他の内臓が使われることもありました。食品を包むのに利用するわけですから、洗浄は徹底され、塩水に漬けるのが主流でした。今でも天然腸は乾燥したもの、塩漬けにされたものが流通しています。天然腸のケーシングの長所は、何と言ってもケーシングごと食べることが出来る点でしょう。ソーセージの皺を発生させにくいという特徴もあります。
次にコラーゲンのケーシングについてご説明します。コラーゲンは牛皮をなめす時に発生するタンパク繊維を指しますが、そのコラーゲンが含まれるくず皮を使ってケーシングを造ります。最初に開発したのはドイツで、大戦中に動物の腸である天然腸が使えなくなったことがきっかけでした。日本でも戦後に利用頻度が高まり、ソーセージの消費に大きく貢献しました。ソーセージそのものの大量生産が始まっても、しばらくはコラーゲンのケーシングが多用されました。天然腸の輸入が何時しか追いつかなくなったためですが、理由は他にもあります。天然腸はその性質上、大きさにばらつきがあり、密封するのに支障が生じることもあります。それに対してコラーゲンのケーシングは均一性を担保することが出来るため、都合が良かったのです。