真空包装やガス置換包装は、包装内の雰囲気を空気とは異なった組成にすることにより、食品を変質・変敗から保護し、シェルフライフを延長することを目的とした包装技法です。このように、同じ目的の包装技法でありながら、包装された外観、包装形態、包装される内容物などは明らかに相違するため、これらの共通点と相違点を挙げ両技法について解説します。最初に、両技法の定義です。真空包装は、包装内の空気を脱気し、真空状態にして密封包装したものとなります。この真空包装は、食品の化学的変質、あるいは微生物による変敗に影響する酸素を除去することにより、食品のシェルフライフを延ばすことを目的としています。真空包装されている食品の種類としては、まずチルドビーフ、チーズ、サラミソーセージが挙げられます。これらは真空包装のみで加熱殺菌は行われておりません。真空包装後、ボイルによる80℃程度の加熱殺菌が行われるものとしては、珍味かまぼこやハム・ソーセージ類などがあります。また、レトルト殺菌されるものとして、ハンバーグやミートボール、あるいは米飯類などが挙げられます。次にガス置換包装です。こちらは、包装時に包装内の空気を排除して、ほかのガスを充填する包装技法です。充填置換されるガスとしては、窒素ガスが最も一般的ですが、窒素と炭酸ガスの混合ガスも多用されています。包装内の雰囲気をこのようなガスに置換するのは、微生物の制御と酸化防止が主な目的からです。ガス置換技法の具体的な食品例とガスの種類として、ポテトチップ、油菓子類、ナッツ類、削り節、粉乳、緑茶はいずれもガスは“N2”、食肉加工品は“N2やN2+CO2”、チーズ、カステラ、洋菓子類は“N2+CO2”、精肉では“O2+CO2”といった具合です。